1なぜダイエットのあとに体重が戻るのか?
ダイエットのあとに体重が戻るのは、減った状態を元へ戻そうとする体の働きが先に立つためと考えられています。食事を減らした期間が長いほど基礎代謝は下がりやすく、食欲に関わるホルモンも増える方向へ傾きやすくなります。戻りやすさは、意志の強さだけで決まるものではありません。
実際に起きていることを、5つに分けて整理します。ここを知っておくと、戻りはじめたときに自分を責めずに済みます。
| 体で起きていること | 戻りやすくなる理由 |
|---|---|
| 基礎代謝の低下 | 体重が減った分だけ、じっとしていても使うエネルギーが下がります。以前と同じ食事量でも余りやすくなります |
| 筋肉量の減少 | 極端な制限では筋肉も一緒に落ちることがあります。落ちた分だけ、1日の消費がさらに下がります |
| ホメオスタシス(恒常性) | 体重の急な変化を元に戻そうとする働きが強まります。減り方が速いほど、この力も強く出やすくなります |
| レプチン | 満腹を伝えるホルモンが減り、食べても止まりにくくなる場合があります |
| 飢餓状態 | 体が「足りていない」と判断すると、入ってきたものをためこむ方向に働きます |
戻るのは、気が緩んだからではありません。減らし方が急なほど、この5つは強く出やすくなります。ですから「戻さないために、もっと我慢する」という方向は、いちばん再発しやすい選択になります。
2戻していい範囲を、先に決めておく
リバウンドを防ぐうえでいちばん効くのに、あまり書かれていないのがこれです。手を打つ合図を、戻す前に決めておくこと。合図が無いと、1kg増えただけで「失敗した」と判断し、また極端な制限に戻ってしまいます。
当社が卒花後にお伝えしている合図は、3つです。体重の数字だけでなく、服と生活の様子もあわせて見ます。
- 1体重が+2kg7日間の平均で見て、その状態が続いていたら動きます。1日だけの数字では判断しません
- 2服がきついいつも履くボトムスで確認します。たんぱく質から組み立てる食べ方(1食20gが目安)に戻します
- 3外食が3日続いた前の日のことは責めません。翌日の1食だけ整えれば十分です
体重は1日のうちでも1〜2kg動きます。ですから1日の数字は、そもそも判断材料になりません。見るのは7日間の平均です。ここを取り違えると、増減の波にそのまま振り回されます。
合図に当てはまったときも、いきなり食事を削らないでください。やることは「いつものペースに戻す」だけです。落とし直すペースの上限も、当社は週に体重の1%まで(1ヶ月で約5%)を目安にしています。急いで落とすほど、この記事の最初に書いた5つの反応がまた強く出ます。
体重そのものの見方は 体重より写真を見る理由 に整理しています。
3食事はどのくらいの期間をかけて戻すのか?
食事は一度に戻さず、2週間ごとに少しずつ増やす方法が現実的です。全体では2〜3か月かけて、制限前の量に近づけていきます。急に戻すと体重も気持ちも大きく振れるため、段階的に食事を戻すほうが、途中の増減を落ち着いて読み取れます。増やす順番は、朝と昼の主食からです。
具体的には、次のように進めます。量ではなく、食事のタイミングで区切るのがコツです。
| 期間 | 戻すもの | 見るところ |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | 朝と昼の主食を、普段の量に戻す | 体重より、便通と手足の冷え |
| 3〜4週目 | 夕食の主食を戻す | 朝の目覚めと、眠りの深さ |
| 5〜8週目 | 間食・外食を、いつもの頻度に戻す | 7日間の平均体重 |
| 9週目以降 | 制限前の量で続けて様子を見る | 写真と、いつも履くボトムスの感覚 |
朝と昼から戻す理由は単純です。活動する時間の前に入れたほうが、使われる量が多くなるからです。夜だけ増やすと、翌朝の体重に出やすく、不安が強くなります。
1日あたり何kcalずつ増やせばいいのか
増やす幅の目安は、1日あたり100〜200kcalずつです。2週間ほど様子を見て、体重の動きが落ち着いていたら次の段階へ進みます。目指す先は、体重が増えも減りもしない量——メンテナンスカロリーと呼ばれる範囲です。ここに届くまで、数か月かかることもあります。
100〜200kcalは、思っているより小さい単位です。実物にすると次のくらいになります。
- ごはんを軽く1杯足す(100gでおよそ150kcal)
- 無糖ヨーグルトとバナナを1本足す
- みそ汁を具だくさんにして、卵を1個足す
- 調理に使う油を、控えていた分だけ元に戻す(脂質は1g=9kcal)
増やすときは、たんぱく質を減らさないまま炭水化物から戻すのが基本です。PFCバランスの考え方は PFCバランスとは。覚える数字は2つだけ にまとめています。
なお、正確なメンテナンスカロリーは体格・筋肉量・生活の活動量で変わります。計算式で出した数字はあくまで出発点で、2週間の体重の動きを見て調整するほうが実態に合います。当社では、1日の摂取カロリーが1,200kcalを下回らないことも目安にしています。
4戻した直後に体重が増えるのは、水分ですか?
戻した直後の増加は、水分であることがほとんどです。糖質をとると体はグリコーゲンとして蓄え、そのとき水分も一緒に抱えます。数日のあいだに1〜2kg動くこともありますが、それだけの脂肪が増えるには、見合うエネルギーの余りが必要になります。
水分か脂肪かは、次の4点で切り分けられます。
- 増えた速さ——数日で大きく動いたなら、水分の可能性が高くなります
- 顔と指——朝に指輪がきつい、まぶたが重いなら、むくみが乗っています
- 7日間の平均——1日の値ではなく、7日の平均どうしを比べます
- 生理周期——生理前は水分をためやすく、同じ食事でも増えます
周期による増減については 生理前に体重が増えるのは失敗ではない で詳しく書いています。1日食べすぎた翌日の考え方は 食べすぎた翌日にやること、やらないこと にあります。
ここで慌てて食事を戻し切らないことが、いちばん大事です。水分の増加を脂肪と読み違えて制限へ引き返す——これが、戻し局面でつまずきやすいところです。
5糖質は、最後ではなく最初に戻す
糖質制限をしていた場合、戻すのが怖くて最後まで残しがちです。ですが順番としては逆で、糖質は最初に戻すほうが安定します。糖質制限はリバウンドしやすいと言われるのは、戻す局面の設計が無いまま終わることが多いからです。当社はそもそも炭水化物を禁止せず、減らすのではなく置き換えで整える考え方をとっています。
戻すときのコツは、量より食べ方です。
- ベジファースト(野菜・スープから)にして、主食を最後にする
- 白米より、雑穀米やそばなどの低GI値食品から戻す
- よく噛む。噛む回数が増えるほど、同じ量でも満足しやすい
- 1食で戻さず、朝・昼に分けて入れる
糖質を極端に抜き続けた場合に何が起きるかは 糖質制限をやりすぎるとどうなるか に書いています。
6全部は続けられません。1つだけ残すなら何を残すのか?
残すなら、毎食たんぱく質をのせることを選んでください。当社の卒花後の講座は、ほかは普通の食事に戻していい代わりに、たんぱく質だけは式前と同じ考え方で残す、という組み立てにしています。全部を続けようとすると、全部が同時に止まりやすくなるためです。
残すものと、手放していいものを先に分けておくと、忙しい週でも迷いません。
- 毎食のたんぱく質(1食20gが目安)
- 脂質はゼロにしない(1食10g以下が目安)
- 運動はゼロにしない(頻度は半分でも)
- 2週間に1回のセルフチェック
- 我慢していた食べ物の制限(思い切ってやめる)
- 炭水化物を減らし続けること
- 式前と同じ強度・頻度の運動
たんぱく質は、増やす局面でこそ減らさないようにします。筋肉量の減少をおさえられれば、同じ体重でも見え方が変わります。
たんぱく質の量は、2段で持っておく
1日の量は断定せず、2段階で考えます。最低ラインは1日あたり体重×1g(体重50kgなら50g)。講座でおすすめしているのは1日あたり体重×1.2〜1.5gです。まずは1食20gを毎食続けるところからで大丈夫です。
必要量は体格や活動量による個人差があります。数字は目安として持ち、足りない日はプロテイン1杯で補う程度で構いません。たんぱく質の目安は たんぱく質は1日どれくらい必要か に、外食での選び方は 居酒屋での頼み方。順番を変えるだけ にまとめています。
7結婚式のあとは、3週間と3か月で見る
式という締切に向けて短期間で絞った場合、戻りやすさはさらに上がります。理由は2つあります。短期間で減らしたぶん体の反応が強いことと、式が終わった瞬間に目標が消えることです。
当社の講座では、式の翌日からの3週間をもっとも戻りやすい期間として扱い、そこから3か月かけて力を抜いていく組み立てにしています。時期ごとに、やることは変わります。
- 式の翌日特別なことはしません。普通の食事に戻すだけで十分です
- 1〜2週間運動を再開します。式前の半分の頻度で構いません。ゼロにしないことを優先します
- 3週間もっとも戻りやすい期間。ここまでに合図を決めておくと、迷う時間がなくなります
- 2〜3か月食事の量を段階的に戻しきります。土台を保ったまま、少しずつ力を抜いていきます
準備期間は、打ち合わせ・試着・両家の顔合わせと予定が続き、生活が普段どおりに進みません。その状態で我慢だけを重ねてきた場合、式の翌日から反動が出やすくなります。
ただし、ここで体重が戻ったこと自体は失敗ではありません。結婚式に向けたダイエットが失敗だったのではなく、終わったあとの設計が無かっただけです。設計は、式の前に決めておけます。早く決めておくほど、選べる戻し方の幅は広くなります。
- 式のあとに残す習慣を、1つだけ先に決めておく
- やめる制限を、はっきり口に出して決めておく(我慢していたものは、思い切ってやめる)
- 手を打つ合図を、式の前に紙に書いておく
- 式のあと2〜3か月の時点で、写真を撮る予定を入れておく
とくに効くのは、最後の1つです。後撮り・新婚旅行・親族の集まり・結婚報告の写真など、人に撮られる予定が先にあると、戻し方が丁寧になります。体重ではなく予定が、行動を支えてくれます。
式に向けた期間の設計は 結婚式ダイエットはいつから始めるべきか、直前の絞りすぎが招くことは 最終フィッティングがきつい原因は?残り期間別にできる対処法 に書いています。
8一度戻ってしまったあとは、どう立て直すのか?
立て直すときは、食事を減らすところから入らないでください。先に見るのは睡眠、次に実際の摂取量、最後に活動量です。当社の講座では、一度に全部を変えず1つずつ見直すことをお伝えしています。まず1週間、記録を取り直すところから始めます。
| 見る順番 | 確認すること | 先に手を打つ理由 |
|---|---|---|
| 1. 睡眠 | 寝つく時刻と、実際に眠れている時間(目安は7時間) | 短いと食欲が強く出ます。ここが崩れたまま食事だけ整えても続きません |
| 2. 実際の摂取量 | 数日ぶんでよいので、飲み物と間食まで書き出す | 記憶と実際はずれます。思っているより入っていることがあります |
| 3. 活動量 | 歩数と、座っている時間の合計 | 運動より先に、日常の動きが落ちていることがあります |
| 4. 食事量の調整 | ここまで見てから、必要な分だけ | 最初にやると、戻す局面の反応をまた強めます |
同じ順番は、減量が止まったときにも使えます。詳しくは 停滞期に最初に見直す3つのこと にまとめています。
最低限の3つ——たんぱく質・睡眠・筋トレ
戻す期間に守るものを3つに絞るなら、たんぱく質・睡眠・筋トレです。この3つは、体重よりも体の中身に効きます。
睡眠は、食欲そのものに影響します。ストレスと過食(コルチゾール)、睡眠不足とグレリン——どちらも、食欲が強く出る方向に働きます。当社の講座では、睡眠は7時間を目安にしています。眠れていない週に食事だけ整えようとしても、うまくいかないのはこのためです。
筋トレ・有酸素運動の習慣化は、頻度を落としてでも残す価値があります。当社の講座でも、式のあとはゼロにしないことを優先し、式前の半分の頻度から再開する形にしています。ゼロにすると、再開のハードルが跳ね上がるためです。
9よく見かけるけれど、優先順位が低い3つ
戻し方を調べていると、くり返し出てくる方法があります。やってはいけないというより、先に決めることが別にあるものです。
| よく見かける方法 | 実際のところ |
|---|---|
| 22時以降は食べない | 時刻そのものより、1日の総量と中身の影響のほうが大きくなります。帰宅が遅い日は、時刻を守るより夕方に分けて食べるほうが現実的です |
| チートデイを作る | 決めた日に大きく食べる方法です。戻しはじめの時期は反動が出やすく、まず日々の量を戻すほうが安定します |
| 医療痩身・脂肪吸引・GLP-1・サプリへの誘導 | 食事の戻し方を調べているのに、結論が施術や商品の紹介で終わる情報も見かけます。ここで申し上げているのは情報の作りについてで、施術そのものへの評価ではありません。当社はどれも扱っておらず、判断は医師とご本人に委ねます |
どれも「絶対に間違い」という話ではありません。ただ、戻し局面でいちばん結果を左右するのは、増やす順番と幅です。そこが決まっていないうちに小技を足しても、効き目は薄くなります。
10また食べるのが怖いときは、どうしたらいい?
食べるのが怖いときは、量を決める前に見るものを変えます。体重は水分で日々動くため、毎朝の数字を判断材料にすると不安が強くなります。7日間の平均・写真・服の感覚の3つに置き換えると、増減の意味を読み取りやすくなります。量を減らすより先に、見る材料を増やすほうが早く落ち着きます。
「戻したら全部台無しになる」と感じるとき、実際に起きているのは体の変化ではなく、判断材料の狭さです。数字が1つしかないと、その数字がすべてになります。
体重計に乗るのがつらい日の考え方は 体重計に乗るのが怖い朝に にまとめています。測るのをやめる必要はありません。測り方を変えるだけです。
体重以外に、戻っていないと判断できる材料
材料は3つあります。同じ場所・同じ服装・同じ時間に撮った写真、いつも履くボトムスのウエスト、そして7日間の平均体重です。写真は動きが遅い代わりに、水分に左右されません。当社では2週間に1回、体重・採寸・写真をセルフチェックしていただいています。
体重は毎朝、同じ条件で測ります(起きてトイレを済ませたあと)。ただし判断に使うのは7日間の平均です。食事の記録は、完璧でなくて構いません。書けない日は写真だけ、ひとことだけでも大丈夫です。大事なのは、きっちり書くことではなく続けることのほうです。うまくいかない週は、数日ぶんを見返すと原因が見えます。
Qよくある質問
リバウンドしない食事の戻し方を、ひとことで言うとどうなりますか?
戻したら数日で2kgほど増えました。脂肪が増えたのでしょうか。
リバウンドしやすい期間は、いつまで続きますか?
運動はやめてもいいですか?
結婚式のあと、どのくらい戻るものですか?
食べるのが怖くて、制限をやめられません。
一度大きく戻ってしまいました。もう一度やり直せますか?
11今日から決めておくのは、2つだけです
1つは、手を打つ合図(体重+2kg・服がきつい・外食が3日連続)。もう1つは、増やす幅(1日100〜200kcal)です。この2つが決まっていれば、増えた朝に判断を誤りません。
戻すことは、これまでの努力を無駄にする行為ではありません。制限を続けられる期間には限りがあり、戻す設計まで含めて、はじめて1つのやり方になります。
当社では、この戻し局面までを含めてオンラインで伴走しています。式が終わったあとに読んでいただく講座も用意しています。式が終わったあとも、体は続きます。当日をゴールにするか通過点にするかは、準備の段階で決められます。
