産後ダイエットで痩せないのは、努力不足ではありません
「頑張っているのに、全然痩せない」という相談を、産後のお客さまからよくいただきます。体重が動かない理由は、意志の弱さではありません。出産という大きな変化と、慣れない育児の生活が同時に重なっているからです。続けること自体が難しい時期については産後ダイエットが続きにくい理由に譲り、ここでは痩せない原因そのものを一つずつ確かめます。
痩せない原因は、主にこの4つです。どれか1つではなく、複数が重なっていることが多いです。さらに、授乳中か断乳後か、生理が戻っているかどうかでも、動きやすさは変わります。先に全体の時系列を確認します。体重計の数字だけを毎日追いかけると疲れてしまう方は、体重計の数字に振り回されない測り方も合わせて読んでみてください。
- 産後0〜6週体を回復させる時期です。悪露や傷の状態を見ながら、ダイエットより先に休む時間を確保します。
- 授乳が確立するころ授乳のリズムが整うと、食事や生活のリズムも少しずつ安定してきます。
- 生理が戻るころ周期が戻ると、体重が一時的に増減しやすくなることがあります。
- 断乳後ホルモンの状態が変わるため、しばらく体重が動きにくく感じる時期があります。
- むくみ・水分数日で動く
- 睡眠による影響数週間
- 骨盤の状態数週間〜数か月
- 筋肉の量・代謝の低下数か月
- ホルモンの状態全体数か月〜半年
ここで大事なのは、むくみや睡眠は比較的早く動きますが、ホルモンの状態が整うまでには半年ほどかかることもあるということです。つまり、1ヶ月で結果が出ないことは、珍しくありません。
ホルモンバランスの変化は、食欲や代謝にどう影響するのか
妊娠から出産、授乳にかけて、女性ホルモンの量は大きく変化します。この変化が、食欲を強めたり、体に水分をため込みやすくしたりすることがあります。体重が動かないのは、ホルモンバランスが整っていく途中である、という場合があります。
エストロゲンの変化が、食欲と水分バランスに関わる仕組み
エストロゲンは、妊娠中に大きく増え、出産後は急に下がります。この変化が、食欲や体に水分をためやすい状態に関わっている場合があります。授乳をしている間は、さらにプロラクチンという別のホルモンも関わり、体の状態は妊娠前とは違う形で安定しています。焦って減らそうとする前に、この時期特有の仕組みがあることを知っておくと、受け止め方が変わります。
骨盤の歪みは、痩せない原因になりますか?
出産で骨盤まわりの関節や筋肉は大きく動きます。開いたまま戻っていないと、姿勢が崩れやすく、おなか周りが目立って見えることがあります。骨盤の歪みそのもので体重が増えるわけではありませんが、見え方や動かしやすさには関わります。
骨盤の状態は、レントゲンのような検査なしに正確には分かりません。強い痛みや左右差を感じる場合は、整形外科や産婦人科など医療機関にご相談ください。日常でできることは、座る時間が長い日に姿勢を意識する、片側だけに荷物を持たないようにするといった小さな積み重ねです。
骨盤底筋の状態を、自分で確かめる方法
- 1咳やくしゃみで漏れがないか確かめる強い腹圧がかかった時に違和感があれば、骨盤底筋が緩んでいる場合があります。
- 2座った状態で、骨盤を立てられるか確かめる骨盤が後ろに倒れたままだと、おなかに力が入りにくくなります。
- 3痛みや強い違和感がある場合は、専門家に相談する産後の骨盤ケアを専門にする整骨院や医療機関で、状態を確認してもらえます。
筋肉量や基礎代謝の低下は、どう関わっているのか
妊娠・出産を経ると、体を支える筋肉の使い方が変わります。以前より歩く距離や動く範囲が減っていると、使う筋肉の量とともに代謝が下がっている場合があります。これは年齢とともに起こる変化とも重なり合っています。
代謝が落ちる体感と、取り戻すための動かし方
代謝は、何もしていない時でも消費されるエネルギーの量です。使う筋肉が減ると、この代謝も一緒に下がりやすくなります。30代・40代で代謝が落ちていく仕組みと、産後に起こる変化は重なる部分が多く、代謝が落ちていく仕組みと付き合い方も参考にできます。抱っこや授乳の姿勢で凝りやすい部分を軽く動かす、座ったままできる足の運動を1日数回挟むなど、小さな動きから積み重ねる方法があります。
睡眠不足とストレスは、どのような悪循環を生みますか?
まとまった睡眠が取れない日が続くと、食欲を抑えるホルモンと食欲を増やすホルモンのバランスが乱れやすくなります。その結果、甘いものや塩気の強いものを欲しやすくなることがあります。睡眠不足そのものが、痩せにくさの一因になっている場合があります。
眠れない日が続くことと、ストレスが積み重なることは、互いに影響し合っています。睡眠時間を長く取ることが難しい時期は、「質」を少し整えることから始めます。赤ちゃんが眠った隙に目を閉じる、部屋を少し暗くするなど、できる範囲でかまいません。
授乳中と断乳後で、痩せやすさはどう変わるのか
授乳をしている間は、体がエネルギーを多く必要としている時期です。極端な食事制限をすると、母乳の量や質、自分自身の体調に影響することがあります。一方で断乳後は、ホルモンの状態が変わり、それまでと同じ食事量でも体重の動き方が変わる場合があります。
| 時期 | 体重の考え方 | 見ること |
|---|---|---|
| 授乳中 | 体重より回復と栄養を優先します | 極端な食事制限をしていないか |
| 断乳直後 | 一時的に体重が増えやすい場合があります | 数週間〜数か月の経過を見ます |
| 生理が戻った後 | 周期にあわせて増減しやすくなります | 1回の増減で判断しない |
生理が戻るタイミングと、体重の増減が重なることもあります。生理前後に体重が増える仕組みも、産後の体重の動きを見る時の参考になります。断乳後、食事量を元に戻していく時は、一気に変えるのではなく、無理なく食事を戻す考え方のように、段階を踏むと安定しやすくなります。
痩せない状態は、正常でしょうか?注意すべきサインでしょうか?
体重が数週間動かないこと自体は、珍しくありません。目安は、週に体重の1%までの変化で、1か月では約5%までが一般的な範囲とされています。これを大きく超えるペースで落とそうとすると、体調に影響することがあります。
むくみなのか、実際に体脂肪が減っていないのかを見分けるには、体重だけでなく、採寸や写真も合わせて確認する方法があります。体重が止まった時に見直す順番は、産後に限らず使える考え方です。焦って極端な食事制限に走る前に、睡眠・水分・生活のリズムから見直す順番をおすすめしています。
産後ダイエットはいつから始めればいいですか?
いつから始めるかは、体調によって個人差があります。一般的には、1ヶ月健診で問題がないと言われてから、軽い運動を少しずつ始める方が多いです。いわゆるゴールデンタイムという言葉もありますが、これを過ぎたら変わらなくなるという意味ではありません。
ゴールデンタイムとされる時期は、授乳や生活の変化でホルモンが動きやすい時期を指していると考えられますが、個人差が大きく、全員に同じ期間が当てはまるわけではありません。始める時期よりも、その時の自分の体調に合わせることのほうが大事です。悪露が続いている間や、傷の痛みが残っている間は、無理に運動を始めなくてかまいません。
上の子がいる・時間が取れない家庭は、どう進めればいいですか?
上の子がいる家庭では、自分の時間をまとめて確保することが難しい場合があります。まとまった時間がなくても、5分単位の積み重ねで進められる方法があります。すべてを完璧にやろうとせず、できた日を増やすという考え方に切り替えます。
5分単位でできる、ワンオペ育児の日の工夫
- 子どもを抱っこしたまま、軽くスクワットの動きを数回
- 子どもが遊んでいる間に、座ったまま骨盤を立てる姿勢を意識する
- 寝かしつけの後、立ったまま背伸びとストレッチを1分だけ
- 買い物の荷物を、左右均等に持つよう意識する
じぶん肯定ラボでは、運動も「1日10回のスクワットから始める」というように、小さな一歩を大事にする考え方でお伝えしています。続けられなかった日があっても、できた1日を否定しないことが、長く続けるための前提になります。完璧にできない自分を責めてしまう時は、自分を追い込まずに続ける考え方も参考にしてみてください。産後は、以前の生活リズムに戻すこと自体が目標ではなく、今の生活の中で無理のない範囲を見つけることが目標です。
体重以外に見るべき指標と、受診の目安はどこにありますか?
体重は、むくみや生理周期の影響を受けやすい指標です。写真・採寸・体の軽さの感覚など、体重以外の記録も合わせて見ると、変化を見落としにくくなります。体重が動かない時期でも、これらが少しずつ変わっていることがあります。
一方で、何ヶ月も体重も体調も変わらない、強い疲労感が続く、生理が戻らない、気分の落ち込みが長く続くといった場合は、産後うつや甲状腺の状態など、別の要因が関わっていることがあります。自分の努力だけで判断せず、婦人科や内科など医療機関に相談することも、選択肢のひとつです。
よくある質問
断乳したら、急に体重が増えました。おかしいのでしょうか?
生理が戻ってから、体重はどう変わりますか?
上の子がいて自分の時間がありません。それでも始められますか?
焦ってしまう自分を、どう受け止めればいいですか?
帝王切開と経腟分娩で、始める時期は変わりますか?
痩せない状態が何か月も続いたら、受診したほうがいいですか?
産後の体は、ホルモンの状態や骨盤、筋肉の量、睡眠といった複数の要因が重なって、動きにくい時期を作ります。今日決めるのは、体重の数字ではなく、どの時期にいるのかを確かめることです。できる範囲から、少しずつ進めていけば十分です。
