産後の体は、出産前とは違う状態からのスタートになります。焦って高い負荷をかけるよりも、土台から順番に整えるほうが、結果的に早く体は変わっていきます。ここでは、安心して始められる理由から、部位の優先度、月齢別のメニュー、回数の決め方までを取り上げます。
筋トレをすると、体が大きくなってしまいませんか?
筋トレをしても、体がゴツくなる心配はいりません。産後に扱う負荷は軽く、回数も少ないところから始めるため、筋肉が急に大きくなることはまず起こりません。むしろ、ゆるんだ筋肉に力が入るようになることで、全体の印象はすっきりして見えやすくなります。
「鍛えすぎたらどうしよう」という不安から、筋トレ自体を避けてしまう方は少なくありません。ですが、産後に必要なのは、ゆるんだ骨盤まわりの筋肉と体幹に、もう一度力が入るようにすることです。負荷を上げてボリュームを出す段階は、体力が十分に戻ってからで構いません。見た目が気になる気持ちは自然なものですが、順番を飛ばさないことが、結果的に近道になります。
産後の筋トレは、どの時期から始められますか?
産後の筋トレはいつから始めればいいか、という相談をよくいただきます。目安は、医師から運動の許可が出たあとです。分娩の方法によって、始める時期は変わることがあります。体調が整うまでは、呼吸を整える練習だけで十分です。
開始時期そのものの考え方は、産後ダイエットの開始時期をまとめた記事に詳しくまとめています。ここでは、始めたあとにどう組み立てるかを中心に進めます。悪露の量や傷の痛みなど、体調のサインを優先して判断してください。
手術を伴う分娩の場合、自然分娩とどう違いますか?
帝王切開の場合は、お腹の傷が治るまでに時間がかかるため、自然分娩より始める時期が後ろ倒しになることが多くあります。傷の治り方には個人差が大きく、一般的な目安をそのまま当てはめると、負担をかけすぎてしまうことがあります。必ず医師の診察で、ご自身の状態を確認してから始めてください。
この分娩方法で出産した場合は、傷まわりに負担がかかる姿勢を避けながら、呼吸と骨盤底筋の練習から始めます。傷が引きつる感じや痛みがある場合は、無理に動かさず、医療機関にご相談ください。
| 確認すること | 自然分娩 | 手術を伴う分娩 |
|---|---|---|
| 筋トレを始める目安 | 産後1か月健診のころから | 傷の状態を見ながら、もう少し先から |
| 最初に取り入れる動き | 呼吸・骨盤まわりの筋肉を使う練習 | 同じく呼吸から。傷に負担がかかる姿勢は避ける |
| 医師への確認 | 1か月健診で相談 | 傷の治り具合とあわせて相談 |
どちらの場合も、始める前に医師の許可を得ることが前提になります。目安の週数はあくまで一般的な範囲であり、体質や経過によって前後します。
始める前に確認したい、体からのサイン
筋トレを始める前に、確認しておきたいサインがいくつかあります。お腹の中央に指2本分以上のくぼみを感じる場合、腹直筋離開が残っている可能性があります。恥骨のあたりに体重をかけると痛む場合や、反り腰が強く出ている場合も、負荷の高い種目は控えたほうが安心です。
お腹のたるみの原因を詳しく知りたい場合は、産後のお腹のたるみの原因と対処をまとめた記事も参考にしてください。
医療機関に相談する目安
出血が急に増えた場合、強い痛みが続く場合、発熱をともなう場合は、筋トレより先に医療機関を受診してください。セルフチェックはあくまで目安であり、診断の代わりにはなりません。
産後の筋トレで優先すべき部位はどこですか?
産後の筋トレで優先すべきは、骨盤まわりの筋肉と体幹です。出産で伸びた骨盤底筋を先に整えると、尿もれや反り腰の予防につながります。見た目を急ぐより、土台から順番に整えるほうが、結果的に早く変化が出てきます。
部位の優先順位は、骨盤まわりの筋肉からはじめて、体幹、下半身、上半身へと進めていく形になります。先に土台を整えてから、見た目に関わる部位へ進むという考え方です。下腹やくびれが気になる気持ちは自然なことですが、土台が働いていない状態で腹筋運動を増やすと、かえって反り腰が強くなることがあります。
月齢・週数別に、筋トレメニューはどう変えればいいですか?
筋トレメニューは、月齢が進むにつれて段階的に変えていきます。産後1〜2か月は呼吸と骨盤まわりの筋肉が中心、2〜4か月で体幹と下半身を足し、4〜6か月以降に負荷を少しずつ増やします。段階別メニューを守ることで、体への負担を抑えながら進められます。
- 産後1〜2か月呼吸と骨盤まわりの筋肉の練習が中心です。軽い動きで、感覚をつかむ時期です。
- 産後2〜4か月体幹と下半身の種目を足します。回数より姿勢を優先します。
- 産後4〜6か月回数と可動域を少しずつ増やします。体調が安定していれば種目を増やします。
- 産後6か月以降負荷を上げる段階です。骨盤まわりが働く姿勢を優先して進めます。
産後1〜2か月、呼吸と骨盤まわりの筋肉から
最初の1〜2か月は、ドローインという呼吸法で、お腹をへこませながら息を吐く練習から始めます。慣れてきたら、仰向けでお尻を持ち上げるヒップリフトを軽く取り入れます。回数は5〜10回を目安にし、痛みが出たらすぐにやめてください。
産後2〜4か月、体幹と下半身を足す
体調が落ち着いてきたら、膝をついた姿勢でのプランクを足します。下半身は、浅い角度のスクワットから始めると負担が少なくなります。回数よりも、正しい姿勢を保てているかを優先してください。
産後4〜6か月以降、負荷を少しずつ増やす
体力が戻ってきたら、回数や可動域を少しずつ増やしていきます。立った姿勢での種目を増やし、重さのあるものを使う場合も、骨盤まわりの筋肉が働く姿勢を優先します。焦らず、体の反応を見ながら進めてください。
週に何回、どのくらいの回数が目安ですか?
頻度と回数は、週2〜3回、1種目10〜15回を目安に始めるのが一般的です。毎日やらなければと気負う必要はありません。体調が優れない日や、上の子の対応で時間が取れない日があってもかまいません。休む日を挟みながら、少しずつ回数を増やしていく進め方が、長く続けやすくなります。
当社では、まずは少ない回数から始めることを大切にしています。1セットしかできなかった日も、0回よりずっと意味があります。回数を増やすことより、続けられる形を先に作るほうが、結果的に早く体は変わっていきます。
自宅でできる、産後筋トレの基本の流れ
ここまでの考え方を、自宅でできる流れに落とし込みます。順番を守ることが、負担を抑えながら進めるコツになります。
- 1呼吸を整える仰向けで膝を立て、息を吐きながらお腹をへこませます。1日5回からで十分です。
- 2骨盤まわりを使う仰向けでお尻を持ち上げる動きを、呼吸に合わせてゆっくり行います。
- 3体幹を支える膝をついた姿勢で、体幹をまっすぐに保つ時間を少しずつ延ばします。
- 4下半身を使う浅い角度でしゃがむ動きを取り入れ、太ももとお尻を使う感覚をつかみます。
骨盤まわりを支える道具として骨盤ベルトを使う場合の考え方は、産後ダイエットの骨盤ベルトの使い方をまとめた記事に書いています。筋トレと併用する場合の目安も触れています。
一方で、初期から避けたほうがいい種目もあります。
- 呼吸と骨盤まわりの筋肉を使う練習
- 浅い角度でのしゃがむ動き
- 短い時間の体幹トレーニング
- ウォーキングなど軽い有酸素運動
- 腹筋を勢いよく起こす動き
- 高い負荷でのジャンプ系の運動
- 長時間のランニング
- 重い荷物を持つ運動
勢いよく起き上がる動きは、ゆるんだお腹の筋膜に負担をかけやすく、腹直筋離開が戻りきっていない時期には向きません。ジャンプ系の運動は骨盤まわりに急な圧がかかりやすいため、様子を見ながら取り入れる時期を判断します。
授乳中に食事制限をしてもいいですか?
授乳中の食事制限は、極端に行うとおすすめできません。母乳をつくるためのエネルギーが必要な時期のため、量を大きく減らすより、たんぱく質や野菜を意識して整えるほうが安心です。食事制限を考える前に、まず内容を見直す順番にします。
母乳への影響が気になる場合は、産後ダイエットが母乳に与える影響を整理した記事に、安全に進める手順をまとめています。水分の摂り方や、下限の考え方にも触れています。
上の子の世話や夜間断乳と両立しながら、筋トレの時間をどう確保しますか?
上の子がいる場合や夜間断乳の時期は、まとまった時間を取りづらいものです。5分だけ、昼寝の合間だけというように、時間を区切って取り組む形で十分です。毎日同じ時間にこだわらず、できた日を増やす考え方に切り替えます。
抱っこ紐で散歩をしながら体を動かす方法は、抱っこ紐ウォーキングの進め方をまとめた記事で取り上げています。上の子と一緒に取り組める軽い運動を選ぶと、罪悪感なく続けやすくなります。
一週間の組み方の一例
月・水・金に10分だけ、火・木・土は様子を見て休む、というように、曜日ごとに役割を決めておくと迷いが減ります。日曜日は記録を見返す日にする、といった形も続けやすくなります。完璧にこなすことより、続けられる形を優先してください。
見た目の変化は、いつ頃から感じられますか?
見た目の変化が出るまでの時間は、部位によって違います。二の腕は比較的早く、くびれはゆっくり時間がかかる傾向があります。同じ回数をこなしていても、部位ごとに変化を感じる時期がずれるのは自然なことです。体重の数字より、写真や採寸で確かめたほうが、変化に気づきやすくなります。
- 二の腕4〜6週
- 背中6〜8週
- 下腹6〜8週
- くびれ8〜10週
この目安は、絶対にこの週数で変わるという約束ではありません。体質や生活によって前後します。写真と採寸は、2週間に1回くらいのペースで残しておくと、小さな変化にも気づきやすくなります。
体重や見た目がなかなか変わらないと感じる場合の原因の切り分け方は、産後ダイエットで痩せない原因を整理した記事にまとめています。続けること自体がつらくなった時は、産後ダイエットが続かない理由と対処をまとめた記事も参考になります。
今日、決めることはひとつです
産後の筋トレは、一度に全部をそろえる必要はありません。今日やることは、呼吸をひとつ整えること、それだけで十分です。具体的な回数やフォームの確認は、お一人ずつの体の状態によって変わります。じぶん肯定ラボでは、オンラインパーソナルを通じて、産後の体に合わせたメニューの組み方をお伝えしています。6年間自分自身のダイエット経験を重ねてきた立場からも、続けられる形を優先することをお伝えしています。
